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02お客様のための
オーダーメイド開発秘話
ORION PROJECT

02お客様のためのオーダーメイド開発秘話
  • 太田 直樹

    開発技術課
    2012年入社
  • 寺田 宏明

    開発技術課
    1989年入社
  • 畠山 和也

    開発技術課
    2005年入社

オリオンが開発した製品「スイープビット」。独特の形状を持つこのルーターは、木材の穴あけや引き回し加工に最適な機械刃物です。身近なところでは、テーブルにパソコンケーブルなどを通す穴や溝の加工、ドアノブ用の穴加工、住宅建材のコンセント穴加工などに使用されています。そして、じつはこのスイープビットをつくることができるのは、オリオンだけ。そこには、お客様の課題を解決したいという熱い想いで、いくつもの難関に取り組んだ技術者たちの苦労の物語がありました。今回は「スイープビット」の開発に挑んだ3名の技術者に集まってもらい、その開発のプロセスや想いを語り合ってもらいました。

特許を侵害せずに、特注品を開発せよ。

特許を侵害せずに、
特注品を開発せよ。

そもそも、どのような経緯でこの開発がスタートしたのですか。

寺田話が来たのは5年ほど前。当時は、すでに穴あけ・引き回し加工のためのルーターを他社が製造しており、特許も取得していました。しかし、そのルーターは加工の際、摩擦によって本体が焦げてしまうという課題があったんです。そこで、焦げることなく加工できるルーターをつくれないかと依頼がありました。

畠山そもそも、オリオンは、大手企業のように大量生産向けの製品はあまり扱っておらず、お客様の工場ごとの要望に沿った特注品の製造を得意としていました。だから、こういった依頼も多くあるのです。

寺田この時も「オリオンならできるのでは」と期待されて話がきたんだよね。とはいえ、市場を独占している大手企業の特許を侵害しないで一からルーターをつくるなんて、僕は無理だろうと思っていたよ。実際、技術部に話が来る前に設計部でも挑戦し、頭を抱えていたらしいし。これは難しいぞ、と。

太田その当時、僕はまだ製造部にいたのですが、その話だけは聞いていました。なにやら大変そうだなぁと、最初は見守るような気持ちでしたね。

開発はどのように進めていったのですか?

寺田まずは、押さえられている特許の内容を確認してどの部分に対する特許なのかを調べるところから始めました。特許項目を侵害しないような形状を考えるのだけど、図面を見ればみるほど、どうしてもその形状にたどり着いてしまう。最初から難関でしたね。

畠山あの時は、寺田課長がリーダーのように指示を出してくれて、私が図面を3Dに起こして、設計や製造のメンバーとともにトライアンドエラーを繰り返しながらつくっていきましたね。

太田やはり、焦げを出さないようにするのは難しかったのですか?

寺田焦げが出てしまう一番の原因は、木材を削った際に切粉が残ってしまうこと。摩擦熱が加わると、切粉が焦げて加工後には表面が黒ずんでしまうんだよね。切粉を出さないようにするのは難しいので、切粉をうまく排出することを優先した形状にすることにしたんです。

畠山とはいえ、そのやり方だと、どうしても既存の形状になってしまう。図面を横にいつも置いて、頭の中で絶えず考えていました。

寺田僕の机の上にもずっと既存のルーターのモデルが置いてあって、他の仕事中にもモデルを手にとって眺めては悩んでいました。何ヶ月経ってもアイデアが浮かばなくて。社長からも何度も「どう?」と聞かれるんだけど、毎回、回答に困っていたなあ。

八方塞がりだったが、発想の転換で突破。

八方塞がりだったが、
発想の転換で突破。

突破口はどのようにして見つけたのですか?

畠山発想の転換でした。既存の商品は、刃の溝の形状に関する特許を取得していました。でも今回は「溝」というよりも「壁」をつくるという考え方ができないかと思ったのです。「削って溝をつくった刃」ではなく「土台に壁をつけた刃」を開発することにしたんです。

寺田そのころは、畠山くんは自分でワックスを削りながら刃の形を考えていたよね。彫刻家みたいに。

畠山半年以上は、削って、図面にしてみて、製造して、テストをして、を繰り返していましたね。

寺田ルーターが完成しても、テストで木材を削ったら、やっぱり焦げが出てしまうこともあったね。3度目のテストでようやく焦げがなくなり、少しずつ形になっていくという感じだったよね。

畠山そうそう。構造が複雑だから、3Dでもうまくできないところがあって、細かいところは手作業で削りながら形を整えていきましたね。

寺田それで、前代未聞の形状が完成したんだけど、逆に図面に落とし込むのも難しくてね。頭を抱えていたとき、設計のチームの人がうまく書くアイデアをくれて、そこから急に完成が近づいた感じだったね。

太田どんなアイデアだったんですか?

畠山製品を切って開いたような独特な図面です。展開図のようにすることで、部分的な複雑な構造をうまく分解して図面に落とし込むことで、特許商品との差別化もできていました。

寺田それを見たときは「お、いけるじゃん!」と、ワクワクしましたよ。

太田そんなふうに、自分が実際に手を動かしたり、設計の意見をもらったりしながら、いろんな工程を行き来して開発していくんですね。話を聞いていて、そのコミュニケーションの取りやすさもオリオンらしさだなあと思います。

新製品「スイープビット」で、逆転勝利。

新製品
「スイープビット」で、
逆転勝利。

そして、合格をいただけたというわけですね。

寺田まずは社内でテストを繰り返し、いよいよお客様の要望通りだと言える状態になったところで、営業やお客様にも実際の使用感を見てもらって、ようやく合格をいただけました。

畠山うちでも特許を新たに取得して、オリオンにしかつくることのできないルーターとして「スイープビット」が認められたんです。

太田スイープビットが製造ラインに流れてくるのを見ました。今まで見たこともない形のルーターで、とても驚きましたね。

完成後、お客様や周りの反応はいかがでしたか?

太田お客様からの反応もよく、実際、日本各地から注文がきています。生産が追いつかない時もあり、手応えは大きいんじゃないでしょうか。

畠山一番手応えがあったのは、新製品の展示会での出来事でした。スイープビットの最大の特徴でもある、焦げが出ないことを全面に押しだした展示をして、多くの企業さんや販売代理店の方に見ていただくことができました。

寺田そうそう。これまでの製品との比較動画もつくって、みんなにアピールしたね。

畠山たくさんの企業さんが、興味を持って集まってきてくれて。その中に、既存の特許製品をつくっていたメーカーさんもいて「比較している製品、うちのだよね」と悔しそうに言ってましたよ。(笑)それまで、こちらが悔しい思いをしてきたので、逆転できたような気持ちだったなぁ。

困っているお客様がいる限り、開発を続けたい。

困っている
お客様がいる限り、
開発を続けたい。

今後は、このスイープビットをどんなふうに展開していきたいですか?

畠山まずはより多くの人に使ってもらいたいです。オリオンの製品は、じつはさまざまな場所で使われているんです。たとえば、テーマパークや歴史ある建物の内装工事など。自分たちの開発した製品が、幅広く役に立てているとうれしいですね。

寺田これからはスイープビットも、どんどんアップデートしていく必要があると思っています。現在は木材の加工に適した製品ですが、お客様によって使い方や加工する素材もさまざま。より多くの用途に使えるように、変化を加えていきたいです。

太田僕も最近研究開発の仕事をしはじめたので、その意思を受け継いで頑張っていきたいです。寺田さんや畠山さんのように、社内のたくさんの人の意見を集めながら、お客様が常に満足できる製品を守り続けたいですね。

みなさんがそこまで頑張れるモチベーションはどこから生まれるのですか?

寺田困っている人がいたら、自分がなんとかしたいという気持ちになります。そして、自分のつくった製品を使って「うまく切れた」「役に立った」という一言がもらえれば、頑張ってよかったなと思えるんです。

畠山自分も同じです。お客様は、他社で断られてしまったり、うまくいかなかったから私たちに依頼してくださることが多いんです。ものづくりに関わるものとしてのプライドもあるし、「僕たちがやってやろう」と気合いが入りますね。

太田僕は、お客様が納得してくれるまで、とことんこだわりたいと思っています。ものづくりは自己満足だけではうまくいきません。この先に誰が待っているのかを考えると、モチベーションが上がりますよ。

ものづくりの未来は、
チームオリオンが拓く。

最後に、みなさんの今後の目標を教えてください。

畠山ずばり、スイープビットに次ぐヒット商品を生むことです。オリオンでは、部署同士の連携がしっかりとれているからこそ「こんなのどう?」と意見交換が盛んで、みんなでものづくりをすることができます。自分も、この環境を活かして、新たな製品を開発したいですね。

太田僕も、お客様から満足される製品をどんどん開発したいですね。ものづくりの現場では、一つの製品の完成に向かってみんなが力を合わせることができるのがとても魅力的に感じます。自分もその一員として、開発に貢献できればと思っています。

寺田私はオリオンでのキャリアはもう30年以上になりました。今後は、太田くん、畠山くんをはじめとする後輩たちに、自分の知識のすべてを伝えていきたいですね。

太田オリオンは、本当に人を大切にしてくれる会社です。だから、寺田課長をはじめいろんな方がサポートしてくれて、のびのび働くことができてありがたいですね。意思を受け継ぐ身としても、頑張らなければ。

畠山さらに要望をいうならば、古くなった加工機などを新調してほしいかな。そうすれば、もっといいものがつくれそうです。

寺田それはそうだね。人と機械(技術)の成長が、ものづくりの成長にもつながるし、両立しながら全体のレベルを上げていきたいね。

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